ネパール二つの初体験

ネパール二つの初体験

第1章「タトパニ」

「タトパニ」村。ネパール語で熱い水≠ニいう村の名前。

ネパールのポカラから4日間、一日平均8時間のトレッキングの末にたどり着ける村である。今回で5度目のネパール、そして3度目のトレッキングでタトパニまで足を延ばしたのは初めて。何度来ても一日8時間の山歩きは辛い。でもこの辛さの代償に、あの美しい山々と、澄みきった夜の星空、そして、そこのロッジで食べる質素だけれどとてもおいしい食べ物の味に出会えるのだ。トレッキングで疲れ果てた末にロッジでありつける食事のありがたさ、6日間のトレッキング中は肉はなし、野菜のみの食生活だった。ただふかしたジャガイモに塩をつけて食べていただけなのに、とてもおいしい。

ネパール二つの初体験

でも、こんなひと時何が人間にとってしあわせ≠ネんだろうと考えてしまう。

日本での飽和した食卓、コンビニ弁当。物がたくさんあることがしあわせ≠ネのか、自然の中で必要最低限の物の中で健康的に暮らす日々なのか……。

私はいつも旅に出るたびに思う。だけど物欲とか便利さを捨てることはまだ出来ない気がする。だからその自分の矛盾を旅によって解消している。

ヒマラヤを眺めながらムクティナート巡礼のサドゥー(修行僧)と擦れ違い、荷を運ぶラバの渋滞に何度となく足を停められつつ、いくつかの峠を越えてタトパニへ到着した。

ネパール二つの初体験

私がなぜここまで「タトパニ、タトパニ」と言うかというと、ここタトパニにはその名の通りカリ・ガンダキ川の川辺に温泉があるのだ。しかも露天風呂!!

私は温泉大好き、そしてネパール好き。ならばネパールの温泉に入らずして帰国できるか!

外国人トレッカーや地元の人達も男女構わず水着で入浴。みんな体の疲れを温泉で癒しゴキゲンだった。いろいろな国の人達が集まり、それこそ裸の付き合い(?)なのだ。

すぐ横を川が流れ、四方をアンナプルナ山群に囲まれている。その中の掘っ建て小屋のような売店でビールとポップコーンを購入し、サルの様に露天風呂に浸かる。山々を眺めビールを飲みつつ、ボブマーリーのテープがその売店からガンガン流れてくると、もうそこは極楽だった。

これがまず一つ目の私の初体験、ネパールでの露天温泉入浴。

ネパール二つの初体験

第2章「テング熱」

「テング熱」、ネッタイシマ蚊によって介するテングウイルスの感染。潜伏期間3〜10日間。症状は発熱、全身の発疹、肝腫大、眼球の痛み、背筋・骨間接痛、倦怠感。

なんと私はネパールの帰りに立ち寄ったタイで感染した。

突然原因不明の発熱、まぁ明日には治るだろうと高をくくってゲストハウスで静養。しかし結局帰国までの四日間、40度の熱は一向に下がらず、気力で何とか持ちこたえた。皆が半袖・短パンのこの暑いバンコクで、私はブルブル震えていた。やっとの思いで日本に帰国したが、帰国後も熱が下がらず39度。二つの病院をハシゴした末に東大医科学研究所付属病院へ入院。原因不明ということもあり色々な血液検査をした。翌日、病名は「テング熱」であることが判明した。ちょっとカッコ悪い(?)「テング」みたいである。

しかしこの病気、一度目は風邪が治るように症状が引いていくが、二度目が怖い! 二度目以降の感染によって「テング出血熱」「テングショック症候群」にかかる恐れも。出血? 死亡率が上がる?! なんて先生から聞いてしまうと、たかが蚊となめてはいけない。テング熱に対するワクチンはないので、ひたすら蚊に刺されないように注意する事が必要。人と人の直接感染はないのでそちらは御安心を。

今回の旅の目的はリセット≠セった。旅先ではリセット¥o来なかったのだが、この帰国後の10日間の何もない入院生活で何故かリセット$ャ功をしてしまった私であった。なにげなく外を歩き、好きなものを食べ……、そんな日々がなんて素晴らしいかを気付かされた二つ目の初体験、入院生活。

ネパール二つの初体験

2001年7月19日

  • ネパール二つの初体験
  • 元・チャイハネ アナ1F 松田あゆみ
  • シルクロード舞踏館103号 2006.02.01掲載