私たちは種を蒔き……

BOSSのまえがき

日に日に自由でグローバルになって行く私たちの活動の足跡から、さまざまな可能性、光の散乱と、さまざまな没落、悲鳴が砂塵のように湧き起こっているのが見えます。

各民族が、工業化社会以前に持っていたもの、美術や音楽や、衣食住の民俗の中に伝えていた異なった直感やイメージ、シンボリックなモチーフは、今や人類の、最後の聞き取りにくい、遺言のように消えていこうとしています。

それを私たちの眼でとらえ直し、失いかけた伝承とモチーフの力と活気を取り戻す――そして、私たちの生活をいろどると同時に、現地のハンディクラフト産業を砂塵の後に形づくっていければと、願っています。

その国の人々にさえ、愛される、新鮮でしかも伝統的なものが生まれ、世界中へ輸出される事もあり、逆にただの委託生産品や、目先が変わっただけの新製品になってしまうこともあります。自分たちはプロデューサーなのか、バイヤーなのか、企画デザイナーなのかまたは広い意味でのコンポーザーなのか、名付けるのに困るところです。しかも私たちは、これらの商品を全国の小売店に卸することや、直営店で小売りすることによって、直接ユーザーの反応に触れたりします。つまりセールス・クラークでもあります。

どちらに比重があるというより、こういう全体をつかんで自分の持ち場を知っている個人個人が集まって、あっちに引っ張りこっちに引っ張り、しかしトータルにはアメーバのように前進して進んでいくのが私たちの組織です。

忘れてならないのは途上国で誠実に民芸を支えている、無数の小さな工房を私たちが支え、同時に私たちの生活も彼らの仕事で支えられていることです。

創立30周年を来期に迎えようとしている今、今後の方向として、先進国も含めた旗艦店の戦略的な出店を考え、民芸品の世界的なニーズを把握していきたいと思っています。